透明ガラスと型ガラスの日射取得の差
カテゴリー │家造りの役に立つお話│設計(間取りや仕様)について
本日は久しぶりに家造りのお話を。。。
先月のブログの検索キーワードに
“透明と型ガラスで日射取得はかわる?”
という検索ワードが2件入っていたので、こちらについてお答えしようと思います。
簡単に言うと
『ほとんど変わりません』
で終わってしまうのですが、もう少し詳しくお話していきます。
まず透明ガラスと型ガラスって何?というところから。
透明ガラスはその名の通り、透明なガラスです。
カーテンやブラインドが無ければ内⇔外が丸見えの状態です。
型ガラスはこちら
このように内⇔外がぼやけて見えないのでプライバシーが保てる訳ですね。
YKKapやリクシルで内⇔外が見えないガラスで透明ガラスから変更した際に追加費用が発生しないのがこちらの型ガラスとなります。
ですので一般的に窓のガラスは“透明”か“型”のどちらかを選ぶ必要があります。
検索されたワードは透明と型で日射取得が変わるのか?
つまり透明から型に変えると窓から入ってくる日射熱に変化があるのか?
ということです。
もう一度簡単にお答えすると
『ほとんど変わりません』
なんですが、もう少し詳しくお話します。
サッシメーカーから公表されている“自己適合宣言書”というものがあります。
“メーカー名 自己適合宣言書”と検索するとすぐにヒットするのでわかると思います。
こちらはYKKapのHPからダウンロードしたAPW330というサッシの自己適合宣言書です。
見る場所は“日射熱取得率”のところ
日射熱取得率は高いほど熱を通し易く、低い程通しにくくなります。
日射熱の差を気にしているということは日射を取得したい部分の窓だと判断します。
ということはガラスの色はYKKapの場合はニュートラル1択なのでニュートラルの日射熱取得率を見ていきます。
※この辺りの話は以前しているので、詳しくはそちらへ
透明ガラスが0.45 型ガラスが0.44 となっており、ほとんど差がないことがわかります。
透明ガラスであるが故にレースカーテンを閉めっぱなしにすると日射熱取得率がガクン!と落ちることを考えれば、型ガラスの方が多く日射を取得できるとも考えられます。
以前から何度も何度も言っていることですが。。。
道路から丸見えの部分で普段カーテンを閉めてしまうのであれば、透明ではなく型にしてカーテンをオープンにした方が圧倒的に省エネ効果が出ます。
※日当たりの良いことが大前提です
という訳で、最終的な結論です。
『ガラスの性能的にはほとんど変わりません。但しカーテンを開けておける分日射取得は多くなります。』
以上です!
2月の電気代
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子
いきなりですが。。。
申し訳ございません!
前回(1月)の電気料金をお伝えした記事に重大な誤りがありました。
今回はそのあたりを修正しつつ、2月の電気料金がどうだったのかご紹介していきます。
まずこちら。
太陽光モニターの先月の結果です。
消費量が640kwh
買電量が515kwh(12,313円)
売電量が275kwh(6,572円)
買電量から売電量を引くと240kwh(5,741円)
という訳で2月の電気代は5,741円です!と言いたいところですが、ここに多きな誤りが。。。
電気料金の内訳は
基本料金+電力料金単価×使用料±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金
で決定されるのですが、太陽光モニターの買電額は電力料金単価×使用料の分ぐらいしか加算されていないようなんです。
中電のスマートライフプランの料金、平日は平均26円/kwh
土日祝日は平均23円/kwh
2月の日数で平均を計算すると25.03円/kwhとなります。
モニターに表示されている買電量の515kwhに25.03円を掛けると12,890円。
500円程の誤差がありますが、おおむね近い数字になりました。
では実際の電気料金はいくらになるのか?
これにさらに基本料金と燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を足す必要があります。
中電スマートライフプランの基本料金が1,487円
2月の燃料調整費単価が5.51円/kwh
再生可能エネルギー発電促進賦課金が3.45円/kwh
買電量515kwh×(電力料金単価25.03円/kwh+燃料費調整単価5.51円/kwh+再生可能エネルギー発電促進賦課金3.45円/kwh)+基本料金1487円=18,991円となります。
答え合わせにお施主様に2月の実際の電気料金の支払額を教えてもらったところ、18,000円ぐらいだということでした。
どうやらこの計算で間違いなさそうです。
なので2月の電気代は18,000円から売電額の6,572円を差し引いた11,428円となります。
ちなみに先月は26,000円(請求額です)ほど掛かったそうです。
最近は日中床下エアコンを停めていることも多いので消費量が減っていることも料金が下がった原因ではありますが、一番の原因は。
こちら。
1月の燃料調整単価は12.3円と2月の倍以上もしていたんですね。
この燃料調整費、昨年から上限撤廃の動きが始まり、現在ではほとんどの電力会社で上限が撤廃されました。
9月までは国の緩和措置で7円/kwh分安くなっているのですが、(1月と2月の差はこのおかげ?)その緩和措置も9月までなんだとか。
来年の冬は恐ろしいことになりそうです。。。
我が家はせめて内窓を付けておこうとあたらめて思います。
いよいよ今月末から先進的窓リノベ事業の補助金申請もスタートする予定です。
国の予算は1000億円。
あっと言う間になくなったりしないよな。。。?
南面バルコニーからの日射取得を考える
カテゴリー │家造りの役に立つお話
現在、新築の打ち合わせが進行中のお客様。
家づくりに対して非常に熱心に勉強されているので、質疑内容も専門的でこちらも思いもよらないこともあります。
今回はその一例。
南面全面に計画しているバルコニーの打ち合わせ中。
お客様『シミュレーションでみるとバルコニーの手摺で少し陰になっているのが勿体ないですよね』
!?
盲点だった。。。
自分で作ったシミュレーションなのに。。。
見てみると確かに影になっている。。。
住宅の省エネ性能を表す“一次エネルギー消費量”を計算する為には、建物が冬にどれだけ日射を取得出来るのかを表すη(イータ)AHという数値が必要です。
このηAHは窓も大きさ、ガラスの日射進入率、方位係数、庇、などを計算して算出するのですが、ベランダの手摺り壁については計算に入れることはないんですよね。
しかし、実際には影になっているので日射取得は落ちています。
高さを低くすれば解消されそうですが、安全を考えるとやはりH1,100は欲しいところです。
手摺り壁の上部をハンドレール(3段)にすると結構解消出来そうですが、ご希望の外観にはならないのでNG。
それでは、日が陰る分でどれだけの熱量が遮られているのか、計算してみます。
まずは日が陰る部分の窓の高さを調べます。
窓の高さを50cm短くしましたが、影の長さに変化はなし。
55cm短くすると影に若干の変化があったので、手摺り壁で陰る部分は窓の下部50cm部分とします。
続いて建築場所の冬の日射量をNEDO(ネド)の日射量データベースで調べます。
建築場所を選択して。
壁面なので傾斜角90°の日射量を調べます。
続いて気象庁の過去データから浜松の冬の平均日照時間を調べます。
あと必要なのは窓ガラスからの日射進入率0.45。
窓から入る日射量は
窓の面積×窓ガラスの日射進入率×日射量×日照時間で求めることが出来ます。
今回の場合12月~2月に窓3か所の合計で330KWほどの日射が手摺り壁によって遮られていることがわかりました。
床下エアコンの暖房費で考えると3か月で3000円分ぐらいの熱が入ってこない計算です。
ことはこれを踏まえてコスト面と外観の好みからどうするのか考えて頂くこととなります。
その後の打ち合わせにて。。。
お客様『バルコニーを止めた場合のシミュレーションを。。。』
石『かしこまりました』
まずは基準としてバルコニーがある場合の“熱の貯金”を計算します。
先ほどは陰る部分の日射量を計算しましたが、今度は逆に入る部分の日射量を計算して。
そこから窓から出ていく熱を引いていきます。
窓から逃げる熱は
窓面積×窓の熱貫流率(断熱性能)×(室内の温度-外の温度)で計算できます。
外の温度は先ほどの気象庁のページで12月~2月の平均気温を調達し。
最終的にでた数値に12月~2月を時間換算したもの90日×24時間=2160時間を掛けると窓から出ていく熱の量がでます。
当初の計画のバルコニーありの場合
日射取得量 872KW
熱損失 462KW
熱の貯金は410KWでした。
こちらがバルコニーなしの内観イメージ。
日射取得を考えると窓は大きくしたいのですが、単純な引違いサッシのままだと転落防止の対策が必要となってくるので、下の部分をFIX窓、上部を引違いにしました。
こちらの場合
日射取得量 1181KW
熱損失 426KW
熱の貯金は775KWです。
しかし、この数値をそのまま採用するのは問題があります。
ベランダの手摺り壁がなくなったことで室内が外から丸見えです。
型ガラスなどで対策は可能ですが、一般的なレースカーテンで視線を遮った場合の試算をしていきます。
こうするとレースカーテン部分からの日射取得が減るので
日射取得量 1032KW
熱損失 426KW(レースカーテン分断熱性能が多少上がりますが10KWも変わらない)
熱の貯金は606KW
レースカーテンをFIX部分だけにしているので、それほど日射量も落ちませんでした。
こちらは下のFIXをやめて上の窓を大きくしたもの。
日射取得量 844KW
熱損失 319KW
熱の貯金は525KW
バルコニーありより窓は小さくなっても熱の貯金が増えているのが面白いところ。
手摺り壁で日射が遮られる部分は日射が入らないけど熱が出ていくのでその分不利になっていることがわかります。
最後に
お客様『将来後付けのバルコニーが出来るようにすると。。。』
石『かしこまりました。』
将来後付けのバルコニーに出れるように大きな引違を設置。
転落防止の危険があるので手摺を設置。
外から丸見えなので全面にレースカーテン。
日射取得量 716KW
熱損失 416KW
熱の貯金 291KW
と最も不利な結果に。
冬暖かくなるように日当たりの良い家をといった場合、単純に窓を大きくするのだけでは不十分だということがあらためてわかった検証となりました。
私は優先順位の1位に熱の貯金をもってこなくてはいけないとは考えていません。
検証の結果と意匠的な好みなどを合わせて吟味して頂ければ良いと思います。
ただし、こうした検証をしなければわからないこともあるので、検証自体は必要だと思います。
バルコニーの手摺り壁の影は今まで盲点だったので、教えてくれたお客様に感謝です。
先月の電気代
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
電気料金。。。えげつないことになっていませんか?
あいかわらず寒~い我が家では、電気・灯油・ガスとすべての料金が高騰しています。
苦しい。。。苦しいぜ。。。
気になるのは最新の住宅の電気代ってどれだけなのよ?ってことですよね。
昨年当社で施工した“明鏡の家”のお施主様からこんなデータを頂戴したのでご報告してみたいと思います。
こちらは太陽光パネルに付属しているモニターです。
先月の発電量と消費量。
そして売電量と買電量の記載があります。
こちらは実際に電力会社からくる請求とは誤差はありますが、割と近い数値が記載されています。
さて、大寒波もあった先月。
お施主様によると、先月は床下エアコン23℃設定で常時可動。
家の中の大部分が常に20℃以上あるパラダイス。
1か月の電気代は約15000円。
太陽光の余剰電力の売電が5000円程あるので、実質一か月の電気代は10000円ぐらいです。
オール電化なので、ガス代は掛かりませんし、灯油を買う必要もありません。
いいなあ。。。羨ましいなあ。。。
我が家では灯油代だけでそれぐらい掛かっています。
さらにガス代と電気代が。。。
しかも寒い。。。
これからおうちを建てる人はなんて幸せなんだ!!!
ちなみに仮に太陽光を乗せていなかった場合は23000円ぐらいですね。
太陽光は控え目な4.3KWh。
倍乗せていれば電気代0に限りなく近くなりますね。
これが高気密/高断熱+床下エアコンの凄さですよ。
良い家が造れて良かった。
これからもさらに良い家を造れるように頑張ろう。
寒い我が家には。。。
とりあえず内窓を付ける!!!
大量の補助金がでる今年つけねば大損ですよ!!!
来年は太陽光にもドカッと補助金だしてくれないかな(笑)
こちらの記事に重大な誤りがありました。申し訳ございませんでした。
詳しくはこちらへ。
この寒さは。。。どげんかせんといかん。。。
カテゴリー │家造りの役に立つお話│現場での実例など
寒い!寒すぎる!!!
今朝の我が家の寝室の室温。
6.9℃です。
殺す気か!!!
妻と子と3人、毛布と布団に顔を埋めて眠っています。
先週までは12~13℃はあったのですが。。。
寒波恐るべし。。。
我が家は壁は土壁(無断熱)。
サッシはアルミのシングルガラスです。
30年前はこれが主流だったんです。
気密をとるという概念も無かった時代なので、風の強い日は室内でも風の流れを感じます。
夏の冷房は良く効くのですが、冬の暖房はエアコンでは苦しいです。
温度設定をどれだけ上げようが室温は上がってくれません。
こちらは昨夜のリビング。
灯油ファンヒーターによって室温は24℃まであがっています。
就寝の為、ファンヒーターを停めると室温がみるみる下がっていくのが分かります。
ちなみにエアコン暖房を26℃設定で付けっぱなしにしています。
その後室温は下がり続け。。。
朝6:00。
13℃で下げ止まりました。
エアコンをつけた状態でも室温が11℃も下がっています。
そしてエアコンで暖房しても13℃以上に暖めることは出来ないことが分かります。
これだと電気代がかさんでしまうという実例です。
炬燵を出そうか真剣に考えてしまいます。
炬燵が消費電力は低めです。(室温は上がりませんが)
内窓をつければエアコンでももっと室温が上がるようになるはずです。
今年の内窓の補助金は本当にお得なので、皆様も検討してみてが如何でしょうか。
ちなみに、当社で施工して先月お引渡しした“明鏡の家”。
お施主様にお願いして温湿度計を設置させて頂きました。
床下エアコン1台を23℃設定で常時可動させているそうです。
エアコンはリビングにあるので当然リビングの室温はほとんど下がりません。
0:00から6:00の間で-0.2℃です。
我が家との違いが凄まじいです。
これで我が家よりも電気代は安いのですから羨ましい限りです。
リビングだけでなく。。。
洗面脱衣室
玄関といった非居室も21℃以上あります。
1階の洋室が20℃を下回りました。
床下エアコンの背面にある部屋です。
基礎形状を見直す参考にさせて頂きます。
それでも、こちらの部屋で就寝しているお客様からは『暖かい』というお言葉を頂戴しました。
実際、窓面や壁面の表面温度が一般的な家よりも高いので室温以上に暖かく感じます。
嬉しい限りです。
2階 さきほどの洋室1の直上の部屋。
こちらが最も室温が低い16℃。
第三種換気+寒波だと最低これぐらいの室温になることがわかりました。
ただ、この部屋は就寝に利用していないので内部発熱がほぼない状態です。
寝室として利用していればもう1℃ぐらいは室温が上がったのではないかと思います。
しかもこの部屋で就寝しても動かすエアコンが増える訳ではないので暖房費は変わらないという裏山さ。
裏山です!!!
2階の寝室。
こちらはリビングの直上なのでさきほどの部屋よりは室温が高め。
それでも20℃を下回っている。。。
お施主様に訊いたところ昨日は夜勤で就寝していないとのこと。
就寝していれば20℃を下回ることはなかったと思います。
(一昨日は20℃以上あったので)
こうやって比べてみると断熱・気密性能の大切さが身に沁みます。
とりあえず我が家は内窓。
絶対につける!!!
恐らく来月には。。。
太陽光パネルが設置されました。
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
施工中の『明鏡の家』の屋根に太陽光発電パネルが設置されました。
先月、実業家のひろゆき氏が『太陽光は儲からない』と言ったことがニュースになっていましたが。。。
え?この人、こんなにものを知らない人だったの?
とびっくり。
本気で思っているのか、誰かから聞きかじった知識なのか、台本のセリフなのかはわかりませんが。。。
元を取るのに20年とか、国が買い取り価格を変えるとか完全に的外れなコメントです。
現状において、大災害や電力会社の経営破綻などの異常事態に陥らない限り、太陽光発電は10年程で元が取れるし、その後は機械が壊れるまで儲かり続けます。
例えば、
今回の明鏡の家では容量4.26KWの太陽光パネルを設置しています。
シミュレーション上の年間発電量が5,417KWhです。(勾配が緩いので少し低めです。)
そのうち、約70%が余剰電力として売電され、残りの30%は自家消費されます。
5,417KWhの70%は3,792KWh 30%は1,625KWhです。
今年度の売電価格は17円。(こちらは10年間は固定です。国が変えることはありません。)
日中の電気料金は中電のスマートライフプランだと、平日が38.71円、休日が28.52円。
平均すると約35.36円となります。
年間の売電金額は3,792×17=64,464円
年間の自家消費分は1,625×35.36=57,460円
太陽光発電によって一年間で得する金額は64,464+57,460=121,924円となります。
今回の太陽光発電の費用がおよそ120万円なので10年で元がとれてしまう計算になります。
10年後、仮に売電が無くなったとしても、自家消費分は継続します。
20数年前に当社で設置した太陽光パネルが元気に発電していることを加味して最低30年は稼働すると仮定すると、
57,460円×20年間=1,149,200円となります。
これに、割と壊れやすいパワコン(最低10年は保証あり)という部材の交換費用20万円を差し引いても、30年間で95万円ほどの利益が出ます。
10年で売電は無くなる、電気の価格が上がらない、という最低の条件で計算してもこれだけ得する訳です。
少し高めの太陽光ローンの金利で計算しても損をすることはありませんので、個人的には絶対に乗せた方が得だと思います。
設置架台をガルバリウムのタテハゼに挟み込んで取り付けています。
屋根の仕上げ面に穴を空ける必要がないので雨漏りの心配はありません。
構造計算は太陽光パネルの加重も加味して許容応力度計算しています。
ここまでやっておけば、太陽光パネルを設置して困ることはありません。
以前、見学会に来場頂いたお客様に、太陽光を乗せるから屋根の日射遮蔽は気にしなくてもいいですか?(要は屋根の色を黒くしても良いか)と聞かれたことがあります。
その時は屋根と太陽光パネルの間に架台分の隙間が出来るので有利になると思いましたが。。。
ずっと気になっていたので、本日表面温度を測ってきました。
太陽光の乗っていない部分(白いガルバリウム)の部分が約40~45℃
太陽光パネルの部分が45~50℃
約10℃程、太陽光パネルの部分の方が熱くなっていました。
気になる架台分の隙間の部分の温度は。。。
およそ47~48℃で推移していました。
ということは。。。
太陽光パネルの下の部分はパネルが乘っていない部分よりも熱くなっています。
白い色を選択した場合は、太陽光パネルを乗せた方が熱くなることがわかりました。
恐らくですが、黒いスレートや瓦、しかも遮熱塗料を塗っていないものを使用する場合は太陽光パネルを乗せた方が有利になると思います。
個人的な感覚ですが、太陽光パネルは遮熱塗料を塗った黒い仕上げと同じぐらいだと思います。
今回は現場の状況というよりも、太陽光パネルのメリットについてのお話になってしまいました。。。
中も外も張ってます
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
施工中の“明鏡の家”
内部では大工さんが内壁の下地となるプラスターボードを張っています。
プラスターボードは石膏(せっこう)を主原料に、消石灰や粘着剤などを混合して作られた石膏プラスターと呼ばれる材料を板状に成形した建材です。
殆どの住宅会社の建物で内壁や天井の下地として使用されている材料です。
床から天井までの間に継ぎ目を作ってしまうと、構造材の木材の収縮や反りの影響で仕上がりに影響する恐れがあるので床から天井まで1枚の板で張り上げます。
長いプラスターボードは重みも結構ありますが、暑い中でも大工さんが頑張ってくれています。
基本的に接着剤などは使用せずにビスで固定します。
使用するビスを専用の釘に変えたり、ピッチを細かくすることで壁の耐力を得ることも出来ます。
外では外壁屋さんが外壁のサイディングを張ってくれています。
建物の下(土台)から上へと順番に張っていきます。
一番下には専用の金具が取り付けられています。
金具には穴が空いていてここから通気層に空気が入るようになっています。
固定も金具で行います。
サイディングを重ね合わせたら。
金具を差し込んで。
金具をビスで固定します。
十数年前はサイディングも釘で固定するのが主流でしたが、近年は金具留め工法が主流です。
現在も釘打ちの商品もありますが、厚みが薄く、塗料の品質も低い商品がほとんどです。
10年周期で外壁の塗り替えをするつもりがないのであれば、使用しない方が無難です。
金具は厚さが5㎜のものと15㎜のものがあります。
当社では金具の厚み分のスペースを通気層と出来る通気金具工法を標準採用しています。(厚さ15㎜)
外張り断熱の抑えとして木胴縁も施工していますが、これだけを通気層とすると空気の横移動が不十分をなり、横幅の長いサッシ(窓)の下ではうまく空気が流れなくなってしまいます。
そこで、さらに金具分15㎜の通気層をプラスすることで、円滑に空気が流れるようにしてあげる訳です。
通気層を通った空気は最終的には以前取り付けた通気部材から出てくる計画です。
きちんと施工した通気層では排熱、排湿といった働きが発揮されるので、建物の快適性・耐久性に好影響を及ぼします。
外壁工事を施工してくれている協力会社の三共建材さん。
本日は、就職希望の高校生の職場見学に“明鏡の家”の現場を利用してくれました。
寄りによって一年で一番過酷であろうこの時期に。。。
とも思いましたが、嘘偽りなく見てもらうには良かったのかもしれません。
大変だけどやりがいのある仕事だと思います。
就職した際には、現場で会えるのを楽しみにしています。
前回の記事でちらっとお話した凄い外壁。
まだそこまで工事が進んでいません。
早く張れないかな~。
また報告します!
充填+外張り断熱!
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
施工中の『明鏡の家』。
前回は基礎内断熱の施工の様子をご紹介しました。
今回は、壁の外張り断熱の施工の様子をご紹介していきます。
当社で使用している構造用パネル“コーチパネル”には、充填断熱材としてネオマフォームが既にはめ込まれています。
明鏡の家(当社の標準仕様)では外側にさらに断熱材を追加して張っていきます。
お客様と話していると、
『浜松は暖かいのにそこまでする必要があるんですか?』
と訊かれることがあります。
私はその質問に対して、
『少ない台数(1~2台)で家全体を暖冷房をしたいのであれば、ここまでやらないと不十分です。』
とお答えしています。
これは、
『ヒートショックになるリスクを限りなく0にして、暑さ・寒さを我慢しない生活を光熱費を上げずに実現する為には』
と言い換えることができます。
つまり、
・老後にヒートショックを引き起こすリスクを許容する。
・暑い/寒い(特に非居室が)を我慢する。
・光熱費が高くなっても良い。
などを許容するのであれば、外張りだけ、若しくは充填だけの断熱でも良いということです。
当社ではそれらを許容するのは、健康面からみても、ランニングコストの面からみても、“お客様に多大な不利益をもたらしてしまう“と考えているので充填+外張り断熱を標準としています。
前置きが長くなりました。。。
それでは実際の施工の様子をご覧ください。
いきなり断熱材を張るのではなく、サッシの下地やずり下がり防止の為の受けの木材を取付ます。
木材の周りはシーリングで隙間を埋めて気密処理とします。
隙間のないように留め付けていきます。
継ぎ目の部分に防水テープを貼って防水・気密の処理とします。
窓廻りは特に入念に。幅の広い防水テープで防水処理を。
ちなみにテープを貼る順番にも決まりがあります。
水が上から伝って来た時にテープの中に入らないように貼るのが基本です。
棟換気の部分には隙間を空けて。
防水・気密の為に塞ぎたい場所と、通気の為に穴を空けたい所でしっかりメリハリをつけます。
完了です!
今回使用した断熱材。“キューワンボードは表面に遮熱フィルムが貼ってあります。
この外側に外壁が張られるのでこれ自体の遮熱効果は期待できないとは思いますが、通気層内の放射率を下げることで冬の夜間の熱流出を抑える効果があるのではないかと期待しています。
現場ではまだ外装材は張られていませんので、しっかりと遮熱効果が出ています。
外張り断熱を張る前と後では2階の温度が体感でかなり下がっています。
これで屋根断熱を施工したらどれだけ涼しくなるのか、楽しみです。
来週末開催の現場見学会では、実際に外張り断熱を施工した状態がご覧頂けます。
外側に透湿防水シートは貼らないので、本当にそのままの状態でご覧頂けますよ!
是非、当社の誇る、“施工”をご覧ください。
社員一同、心よりお待ち申し上げます。
白蟻対策と基礎内断熱
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
本日は、『明鏡の家』の防蟻工事と基礎内断熱工事の様子をご紹介します。
現在の当社の標準仕様では『床下エアコン暖房』を採用しています。
色々注意事項はありますが、特に重要な必須と言えるものが、
①人体に無害な白蟻対策
②床ではなく基礎で断熱をすること
の二つです。
配管のスリーブの隙間、基礎の水抜き穴、増し打ちしたコンクリートと基礎の取合をホウ酸入りの専用のシーリングで埋めます。
防蟻処理はいつもの如く、人体に無害なホウ酸を使用する“ボロンdeガード”工法です。
玄関やお風呂の部分は基礎から胴差(梁)までの部分にホウ酸を散布します。
その他の部分(1階)は基礎から1mの部分にホウ酸を散布します。
外回りは雨で洗い流されないように、散布後に再養生します。
床の合板の下地となる木材や
床の合板にもしっかりホウ酸を散布します。
合板は両面にしっかりホウ酸を散布しています。
防蟻だけでなく、木材の劣化対策の役割もになっています。
あの有名なバイオリンの名器“ストラディバリウス”にも防腐剤としてホウ酸が使用されています。
ホウ酸は水に洗い流されなければ、効果は永年持続します。
通常の薬品による防蟻処理では5年で保証が切れてしまいますが、“ボロンdeガード”の場合は点検さえすれば15年の保証が付きます。
こちらは大工さんによる基礎内断熱の施工の様子です。
以前、玄関部分に施工したのと同じ“キューワンボード”という断熱材の厚さ70㎜のものを使用しています。
基礎の天端部分はウレタンを吹き付けて断熱を付加します。
断熱性能の計算には反映されませんが、室温を快適に保持する為には必要な工程です。
これで床下エアコン暖房を採用する準備はほぼ完了です。
市販のエアコン1台で家全体を暖房する“床下エアコン暖房”
お引渡しの頃はまだそんなに寒くないかもしれませんので、お引渡し後の室温も計らせて頂こうと考えています。
お施主様!よろしくお願いします!
屋根の色は白を標準にしたいぐらいです。
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
今日は『明鏡の家』の屋根工事の様子を紹介していきます。
使用する屋根材は以前ご紹介した“陽景の家”と同じく白いガルバリウム鋼板です。
炎天下の中、日陰の一切無い屋根の家での作業。。。
澤田板金さん。
本当にお疲れ様でした!
今回もガルバリウム鋼板の“立てハゼ葺き”と呼ばれている工法で施工しています。
こちらは水上側の立てハゼの重なり部分です。
このままだと雨が入ってしまうので、シーリング(防水材)を注入した後にキャップをします。
こんな感じです。
ちなみに水下側は万が一雨が進入した際に雨水が抜けるようにシーリングは注入しません。(キャップはします。)
屋根の温度を計ってみました。
一部下地のルーフィング(防水シート)が見えている状態です。
白いガルバリウム鋼板はおよそ40℃。
ルーフィングの部分が明らかに熱く(赤く)なっているのがわかります。
ルーフィングの部分はおよそ60℃。
色と材質の差で約20℃の温度差が生じています。
去年の夏に施工した“陽景の家”は濃い茶色のガルバリウム鋼板を採用したので真夏には屋根の表面温度が70℃まで上昇していました。
白いガルバリウムの『明鏡の家』ではどうなるのか楽しみです。
綺麗に仕上がりました。
といっても低勾配なので下からは見えません。
こういうケースでは標準で白を採用したいと思っています。
見えない部分の色にこだわって暑い思いをすることはないと思いますので。。。
お客様にも理解して頂けるはずです。
夕方(18時頃)の温度です。
外気とほとんど同じぐらいまで下がっています。
28℃であれば室温(エアコンの設定温度)が28℃であれば屋根からの熱の移動はないということです。
厚みの薄いガルバリウム鋼板は、瓦屋根に比べて熱容量が小さいので、温度が下がりやすいのではないかと推測します。
洋瓦の黒を使用していたお家の屋根温度を計ってみました。
38℃。
日中の温度も計っておけば良かったです。。。
いずれにしても黒い洋瓦の家では夕方になっても屋根から室内に熱移動があることがわかります。
和瓦の温度は私が思っていたよりは低かったです。
黒というよりもグレーに近いからだと思います。
次週はホウ酸による防蟻処理や基礎内断熱などなど現場にも動きがある予定です。
そちらの様子はまた次週報告します!
現場見学会が7月23日(土)・7月24日(日)のAM10:00~PM16:00で開催されます。
詳しくは続報をお待ちください。
土台据えとさや管ヘッダー工法
カテゴリー │家造りの役に立つお話│明鏡の家 施工の様子│現場での実例など
施工中の『明鏡の家』。
いよいよ明日と明後日で建て方・上棟となります。
祈りが天に通じたのか、2日共に雨の心配はなさそうです。
(毎日ころころ変わる天気予報にはやきもきさせられました。)
基礎完了後の現場では大工さんが土台を設置していきます。
まずは墨出しで土台の位置に印をします。
基礎から飛び出したアンカーボルトの位置に穴を空けます。
アンカーボルトと専用の金具で土台を固定します。
床断熱の場合、この後断熱材をはめ込んで合板を敷いて養生という流れになるのですが、床下エアコンを採用する『明鏡の家』ではホウ酸による防蟻処理後に基礎内断熱を施工するので、建て方前の工事はここまでとなります。
水道屋さん(専門的には給排水設備業者さんと呼びます)による先行配管工事も完了しています。
当社の仕様の場合、床の合板を伏せてしまう訳ではないので後から出来なくもないのですが、土台・大引き施工より前にやった方が楽なのは間違いありませんので、基本的にはこのタイミングで先行配管を行います。
なかなか見慣れないこの部材、これは“排水ヘッダー”と呼ばれるものです。
排水管を1ヵ所(ヘッダー)にまとめて排水します。
メリットとしては基礎外周部分の貫通箇所を減らせるのが一番のメリットではないでしょうか。
貫通部分は構造上や白蟻被害の弱点になり得ますので減らせるのであれば減らした方が良いと思います。
メンテナンスや交換も簡単になります。床下エアコンの為に立ち上がりを少なくしているのも床下でのメンテナンスには有利に働いてくれます。
後は外部の汚水桝の数が減らせるといったメリットもあります。
こちらは“給水・給湯ヘッダー”と呼ばれている部材です。
各配管はヘッダーから水廻りの設備まで一本の配管で伸びていくので漏水の弱点になりがちな継ぎ目を無くすことが大きなメリットだと思います。
こうした工法を“さや管ヘッダー工法”といいます。
こちらが従来の先分岐方式の配管です。
ジョイントに継ぎ目となる部材があるのが分かるかと思います。
ヘッダーから先の配管の口径を13A以下にすることで給湯の光熱費を下げる効果も期待出来ます。
ヘッダー配管は部材自体は多少高額ですが、もろもろのメリットを考えると採用する価値のある工法だと思います。
排水管にもスリーブを入れています。
一回り大きい配管の中にもう一本配管されています。
隙間があるので地震の揺れで直接受ける力を弱める働きがあります。
後から交換が出来るのも大きなメリットです。
給排水の配管にも色々な工夫がされている『明鏡の家』。
来月には構造と断熱の見学会を開催します。
詳しくは後日、お知らせ致します。
現代建築と家相の話
カテゴリー │家造りの役に立つお話│設計(間取りや仕様)について
私が住宅の間取りを考える際に気を付けるポイントはたくさんあります。
日当たりや風通しなどの建物の省エネ性に関わること。
家事動線や収納の確保などの利便性に関わること。
プライバシーの確保や防犯性の向上などの安心面に関わること。
あげていけばキリがありません。
色々考えに考え抜いて、『よし!良いプランだ!』とお客様に提出した時に偶に訊かれるのが、
『家相は大丈夫ですか?』
というものです。
実は一概に家相といっても流派が多数あり、それぞれ微妙に違ったりするらしいですが、今回は一般的な家相と現代建築の関係性についてお話していきます。
こちらが家相を判断する時に用いられる“方位表”です。
方位(方角)によってそれぞれ名称がついています。
北東の表鬼門、南西の裏鬼門は特に気にされるお客様が多い方角です。
これらの方角ごとに配置する部屋が吉なのか凶なのか、といったものが定められています。
例えば北東の表鬼門はさらに丑(うし)・艮(うしとら)・寅(とら)の3つに分かれていますが、その中の丑では井戸・便所が大凶、その他の不浄物が凶となっています。
良く言われる鬼門に水廻りはNGというのはここからきているのだと思います。
こうしてそれぞれの方位を24分割してどんな部屋が吉だ凶だと割り振られているのです。
建築の知識を高めてこの家相表を見ると、『ああ、良く出来ているな。』と感心する部分が多々あります。
ただしそれは、断熱性能が低かったり、照明や空調も無かった時代の建物を基準にしている部分も多い印象です。
私見ですが、基本的な部分についてお話していきます。
表鬼門(北東)
この方角は最も寒い(日当たりが悪い)方角です。
便所大凶とされているのはその寒さゆえだと考えられます。
玄関が凶なのも冬の北風が吹き付けて隙間風が入るのを嫌った為ではないでしょうか。
私は現在の高気密・高断熱化された住宅では神経質になる必要はないと考えています。
注意点として、浜松では“遠州のからっ風”と呼ばれる強く冷たい風が北西の方向から吹き付けてきます。
玄関引き戸や引違窓は気密性能が低くなりがちなので出来れば避けた方が無難です。
裏鬼門(南西)
こちらは逆に最も暑い(日差しが強い)方角です。
便所や不浄物が凶とされています。
江戸時代には暑さや寒さよりも食中毒で亡くなる人数の方が多かったと言われています。
当然下水も整備されていません。
キッチンや便所を配置して食材や不浄物が腐りやすくなるのを防ぐ為の知恵が裏鬼門の考え方なのだと思います。
こちらも下水が整備された現代では気にする必要はないと思います。
ただし、『1番日当たりの良い場所』ですので、素直にリビング・ダイニングを配置するべきだと思います。
張出し/欠込み
以前にパッシブデザインの話でもお話しましたが、建物の凹凸は日当たりに影響します。
断熱性能・耐震性能も真四角の建物よりも不利になるので、基本的には建物の凹凸はない方が性能の良い家が建ちます。
方位表を見る限りでは北側で東からの日射が増えることを吉、南側で西からの日射が増えることを凶にしているのではないかと考えられます。
空調がなかった時代の生活の知恵だと思います。
階段
中央が凶だとされています。
照明が無い時代に窓からの明かりが届きにくい場所では暗くて危険だった、暖まった空気が階段から逃げてしまう、というのが理由だと推測します。
現代では間取り的に中央に階段を配置すると無駄な廊下が少なくなる傾向があるので実用的だと言えます。
と色々と私なりの検証結果をお話してきました。
このような説明をさせて頂くと、大抵のお客様は納得してくれます。
ど~しても家相が気になる、住み心地よりも家相優先!という方は出来れば第一段階のご要望で伝えて頂けると助かります。
とは言え、日当たり、風通し、動線を気にしながらプランするとほとんどは家相に引っ掛からないから不思議です。
昔の方の知恵には関心させられてしまいます。
ちなみに、昭和・平成で多く建てられた断熱レベルの建物であれば家相を気にして設計するのは十分有効だと思います。
屋根の勾配について
カテゴリー │家造りの役に立つお話│外装について
住宅の屋根形状には様々な形があることは前回お話しました。
今回は、屋根の勾配(傾き)についてお話します。
一般的には傾きというと角度(°)で表すと思いますが、住宅業界では少し変わった表現をします。
屋根勾配は○○°ではなく、○寸というように『寸(すん)』を用いて表します。
寸を㎝に換算すると3.03㎝ですが、屋根勾配に関してはこれを覚える必要はありません。
直角三角形を思い浮かべてみて下さい。
底辺を10寸として、立ち上がり(高さ)を何寸にするのかで勾配の値が変わって行きます。
例えば底辺10寸(30.3㎝)に対して立ち上がりが4寸(12.12㎝)の場合は4寸勾配と言う、といった具合です。
文章だと分かりづらいと思うので、図を添付します。
あくまで底辺(横方向)に対して高さ(縦方向)がいくつかの比率を表しているので、いちいち寸の値に変換する必要はありません。
底辺(横方向)10㎝に対して高さ(縦方向)4㎝の場合でも4寸勾配と同じ傾きになります。
何寸勾配と言わずに4/10勾配と分数を用いて表記することもあります。
ちなみに、屋根の角度を30°ぴったりにしたい!という場合、底辺10に対して高さが約5.773502692と非常に細かい数字になります。
図面上に表すのが難しいですよね。
恐らくこのような場合は素直に30°勾配と表記するのではないでしょうか。私はやったことありませんが。。。。
さて、次に屋根の勾配はその傾きの度合いに応じて
急勾配 ・・・ 6寸勾配以上
並勾配 ・・・ 3寸~5寸勾配程度
緩勾配 ・・・ 3寸勾配未満
と3つに分類し、それぞれのメリット・デメリットのお話をしていきます。
急勾配 写真は当社施工の6寸勾配の屋根
メリット
水はけが良い/小屋裏空間が確保し易い/屋根断熱の場合通気の効率が良くなる/積雪地の場合雪が積もりにくい/太陽光発電の効率が良くなる
デメリット
屋根・外壁の面積が大きくなる(コスト増)/屋根の施工に足場が必要(コスト増)/風の影響を大きく受ける/建物の高さが高くなるので法規制をうけやすくなる/点検・メンテナンスに手間が掛かる/周囲の日当たりが悪くなる
緩勾配 写真は当社施工の0.5寸勾配の屋根
メリット
屋根・外壁の面積が小さくなる(コスト減)/風の影響をうけにくい/屋根上の点検・メンテナンスが容易
デメリット
水はけが悪い/小屋裏空間が確保出来ない/屋根断熱の場合通気の効率が落ちる/積雪地で雪が積もりやすい/選択できる屋根材が限られる(ほぼガルバリウムの縦葺き1択)
並勾配 写真は当社施工の5寸勾配の屋根
並勾配に関しては>急勾配・緩勾配のメリット・デメリットを併せ持っています。
バランスの良い形状と言えるので、多く用いられる屋根勾配です。
デザイン的なことを考慮せずに言えば、急勾配は施工時も施工後も費用が掛かりそうです。
昔ながらの和瓦が多く使用されていた頃は雨漏り対策として最低4寸~4.5寸が必要とされていたので、並勾配の建物がほとんどでした。
最近では緩勾配の外観を希望されるお客様も増えてきています。
平板瓦であれば2.5寸程度の緩勾配に対応可能な製品も出ています。
外観的なお好みと併せて、今回ご紹介したメリット・デメリットも考慮して屋根勾配を決定してみては如何でしょうか?
デコスドライ!施工中!
カテゴリー │新築工事日記│家造りの役に立つお話│現場での実例など
『楽暖(らくだん)の家』では屋根断熱の施工中です。
使用している断熱材はJIS認定品である綿状のセルロースファイバー『デコスファイバー』です。
施工はいつもお世話になっている“グラウンドワークス”さんです。
デコスファイバーは認定資格を持った断熱施工技術者の責任施工で行われます。
設計通りの性能・品質が確実に発揮できるように講習を終えていない人員だけでは施工できません。
良い材料を良い職人さんが施工する。これが『デコスドライ工法』です。
まずは垂木(たるき)の下に透湿防水シートを施工します。
透湿性のあるシートを張ることで、セルロースファイバーを通して通気層に湿気を逃がす効果が得られます。
シートは母屋部分に折り返してシーリングでも接着をします。
セルロースファンバーをパンパンに詰めてもシートが膨らんで通気層を阻害しないようにする為です。
吊木(下地となる木材をを吊る為の木材)の周りにはウレタンスプレーを吹きます。
隙間からセルロースファイバーが通気層に入らないようにする為です。
大工さんが取り付けた下地の木材にデコスシートを張ります。
このシートも当然のことながら透湿性があります。
繊維系断熱材や発泡ウレタン系断熱材では防湿して湿気を透さないことが基本です。
しかし、デコスドライ工法では湿気を透します。
通気層に排湿することで小屋裏の湿度を下げる狙いがあるからです。
残念ながらセルロースファイバーを施工する業者さんのすべてがこんなにきちんとした仕事をする訳ではありません。
グラウンドワークスさんのような信頼できる業者さんと協力するということが何よりも大切です。
シートが全て張られたら。。。
デコスドライ工法専用の車の登場です。
機械を使ってどんどんセルロースファイバーを送り込んでいきます。
先ほどのシートとシートの間にセルロースファイバーを充填します。
ホースからどんどん送り込まれていきます。
こんな感じです。
ホースを差し込む穴は最終的には専用のテープで塞がれます。
特に夏に真価を発揮するセルロースファイバーによる屋根断熱ですが、もちろん冬にも効果抜群です。
今週末は実際に現場を観て体感して頂けます!
本当の省エネ住宅に触れられる貴重な機会となっております。
来場者特典も御座います。
奮ってご参加の程、よろしくお願いします!
屋根形状について
カテゴリー │家造りの役に立つお話│外装について
住宅の屋根には様々な形状があります。
こちらは平成7年度から平成27年度の新築住宅に採用された屋根形状の推移です。
過去には切妻と寄棟がほとんどでしたが、最近は片流れの採用が増えて寄棟が減っていることがわかります。
それぞれの屋根形状の特徴を当社の施工例と一緒に紹介していきます。
切妻(きりづま)
最も多く採用されている形状
施工が容易でコストも比較的低い
小屋裏収納のスペースを確保しやすい
切妻※アシンメトリー(非対称)
デザインに変化が付けられる
通常の切妻よりも外壁の面積が増えるので費用は割高となる
片流れ
太陽光パネルの設置面積が確保しやすい
外壁の面積が増える
小屋裏のスペースが確保しやすい
水上側(高い方)の面の窓での採光計算が不利になるので居室の位置に注意が必要
片流れ※緩勾配
施工が容易
コストを抑えられる
屋根の通気層の通気効率が落ちる
片流れ(緩勾配)+パラペット
外壁の通気層の出口の確保に工夫が必要
3方向は屋根を水平に見せることが出来る
寄棟(よせむね)
外壁の面積が少なくなる
屋根面積・樋の量が増えるので他の屋根よりも割高になる
施工に手間が掛かる
棟換気の計画に工夫を要する
※特に屋根断熱の場合は高い技術が必要となる
段違い(差し掛け)
高窓の設置ができる
採光計算が不利にならない
屋根断熱の場合、通気層の出口を設ける為の技術を要する
入母屋(いりもや)
施工に技術を要する
コスト大
伝統工法の建物で真価を発揮する
おススメの屋根形状として
とにかくコストを抑えたい ・・・ 勾配の緩い片流れ
小屋裏収納が欲しい ・・・ 切妻・片流れ
水上側の建築基準法の採光を確保したい ・・・ 切妻・段違い
屋根断熱の場合の寄棟やパラペット+片流れなどは施工に知識と技術が必要となるので注意が必要です。
寄棟は形状が余程好みでない限りはおススメはしません。
後はお気に入りのデザインのものを選択すれば良いと思います。
今後は太陽光の普及がますます進んでいくと考えられるので、それに合わせて片流れ・切妻※アシンメトリー・段違いあたりが主流になっていくと推測します。
外張り断熱を追加!
カテゴリー │新築工事日記│家造りの役に立つお話│現場での実例など
施工中の『楽暖(らくだん)の家』では当社史上初の試みを実施しました。
それは“外張りの付加断熱”です。
“充填断熱のみ”や“外張り断熱のみ”は施工したことがありましたが、今回はそれらを上回る断熱性能を確保する為、“充填+外張り断熱”を採用しました。
充填断熱の場合、壁の断熱材は柱と柱の間にはめ込むので何かしらの細工をしない限りは柱の太さ以上に充填することが出来ません。
外張り断熱の場合、あまりに厚くすると取付に細工が必要となるので一般的には5㎝程度の厚さにすることが多いです。
それでは当社の目標である断熱性能を確保するのは難しいのが現状です。
※当社の目標は夏・冬にエアコンをつけっぱなしにしても国の基準レベルの断熱性能の建物でエアコンをつけたりけしたりする場合と同程度の冷暖房費に抑えることです。
充填+外張りとすることで厚みを確保しつつ金物や木部なども覆って断熱が出来るので壁の断熱性能が飛躍的に上昇します。
寒い中、大工さんが一生懸命張ってくれています。
梁やサッシの下地となる木部の周りはコーキング処理をしています。
気密・防湿性能を高める為です。
現場監督 石田の意識の高さが表れています。
今回の気密測定は過去最高の記録がでる予感がします。
楽しみです。
コーキングの上から張るので厚み分凸凹しないように座金をつけてしっかり押さえます。
継ぎ目にもしっかり気密と防水用にテープを貼ります。
これで外壁の断熱工事は完成です。
この後はサッシの取付・屋根断熱の工事に入っていきます。
その様子はまた次週にご紹介します。
現場見学会もいよいよ次週開催です。
断熱・構造・間取りなどなど新築・リフォームを検討中の方必見の内容となっております。
奮ってご参加くださいませ!
ボロンdeガードと基礎内断熱
カテゴリー │新築工事日記│家造りの役に立つお話│現場での実例など
絶賛施工中の『楽暖(らくだん)の家』が年内最後の工程に入っています。
ホウ酸による防蟻処理“ボロンdeガード”の施工です。
施工はいつもの如く“グラウンドワークスさん”です。
土台・大引きのすべての部分と建物の外周部分の高さ1mまでの部分にお湯で溶かしたホウ酸を吹き付けます。
お風呂などの水廻りがある部分は配管廻りが蟻道となるリスクが高いので梁の部分まで吹き付けます。
水に洗い流されない限りは基本的に再施工は不要です。
コンクリートを増し打ちした部分や基礎の水抜き穴も専用のホウ酸入りのシーリングで埋めます。
人体に無害で長時間効果の続くホウ酸による防蟻工事の完了です。
大工さんによって基礎内断熱の施工も完了しました。
使用したのはネオマフォームの66mm。
日本では最高クラスの断熱性能を有した断熱材です。
低版部分も折り返して断熱します。
床下から回り込んで熱が逃げるのを防ぐ働きがあります。
スカート断熱と呼ばれているものです。
熱橋対策として直行する基礎にも断熱材を貼ります。
上端にウレタンスプレーで吹いた断熱材も熱橋対策です。
これらはUA値(断熱性能)の計算には考慮されないので、やってもやらなくても計算上の性能は同じですが実際の住環境や光熱費には確実に影響するのできちんと施工しなければなりません。
床の合板も張り終わりました。
床下エアコンを採用しないのであれば建方の前に床の合板も張れてスムーズに作業が出来ますが、低光熱費で全館暖房ができる床下エアコンの魅力の前にはこの手間を惜しむ訳にはいきません。
ヒートポンプ式の床暖房で今のものより安価でメンテナンスも簡単に出来るものが登場したら床断熱にすることも検討するかもしれません。
それでもエアコンよりも高効率になるとは考えにくいですし、無垢フロアに対応出来るのかという懸念もあるので当分は床下エアコンを採用していくと思います。
『楽暖の家』の年内の工事はここまでとなります。
来年には現場見学会を開催致します。
温暖地でも断熱性能が全国トップクラスに良いとどんなメリットがあるのか?
熊本地震程度の地震に被災しても住み続けられる耐震性能はどんなものか?
実際の現場を観て・訊いて・体感してみてください!
白い屋根が素敵です。
カテゴリー │新築工事日記│家造りの役に立つお話│現場での実例など
施工中の『楽暖(らくだん)の家』
本日は屋根のガルバリウム鋼板葺き施工の様子をご紹介します。
こちらがガルバリウム鋼板の屋根です。
長さは事前に計って手配しているので現場で長さを合わせて切ったりはしません。
端部の曲げ加工を行っています。この部分のみ少し切り欠いて加工します。
ガルバリウム鋼板が重なり合う両側の部分を“ハゼ”といいます。
今回使用しているガルバリウム鋼板を見てみると両側の“ハゼ”の部分が立っていることが分かります。
こうしたハゼを”立て(縦)ハゼ“といいます。
この屋根は立てハゼのガルバリウム鋼板を使用することから、ガルバリウム鋼板の立てハゼ葺きといいます。
低勾配(緩い勾配)でも使用が可能です。
今回の屋根は2寸勾配ですが、ほとんど平に近い0.3寸勾配でも施工可能な商品もあります。
他のメリットとしては何といっても軽いことです。
屋根の重さは耐震性能の確保の為に梁の大きさや耐力壁の量に影響を与えます。
軽い屋根はその点で有利に働きます。
耐久性も安価なスレート屋根などと比較すると高いので35年スパンの塗り替え回数でいけば1~2回分の差が出ると思います。
断熱性能が低いのが欠点だという人もいますが、以前にもお話したようにきちんと断熱されていて通気層が機能している建物であればその外側にある外装材の断熱性能が建物内の温度に影響を与えることはありません。
むしろ日射遮蔽性能(遮熱)の方が大きく影響を与えるので、遮熱塗料を塗られたものや日射遮蔽に有利な淡色のものを使用した方が室温には良い影響を与えます。
淡色を使用すると冬の暖房負荷は増えますが、それは断熱性能を向上させることで影響を少なくすることが出来ます。
今回はお施主様に“白”を選択して頂けました。
私を信用してくれたのだと信じています(笑)
反射光も気にならない低勾配なのでつやありの白を使用しています。
足場が取れて仕上がりが確認出来る時が楽しみです。
中の様子も少しだけ。。。
大工さんによって間仕切りの間柱や耐力壁の筋交い、柱の引き抜きに抵抗する為の金物の取付が進行中です。
次回はホウ酸による防蟻処理“ボロンdeガード”による施工の状況をお伝えします。
屋根の外装材の種類
カテゴリー │家造りの役に立つお話│外装について
今回は屋根に使用される外装材を当社の施工例の中からご紹介していきます。
まずは現在もっとも採用されている“鋼板”です。
ガルバリウム鋼板の縦ハゼ葺き
最近採用される鋼板のほとんどはガルバリウム鋼板だと思います。
昭和頃に多く採用されたトタン屋根と見た目は似ていますが、耐久力が格段に向上しています。
遮熱塗装されたものなど商品の中でも耐久力にバラツキがあります。
なるべく高耐久のものを使用すると良いと思います。
夏の暑さを考慮すると色は白・シルバー・グレーあたりがおススメです。
立てハゼ葺きは0.5寸勾配ほどの緩い勾配でも採用出来るので人気があります。
ガルバリウム鋼板の平葺き(横葺き)
瓦よりは勾配を緩く出来ます(3寸勾配程)が、縦葺き程は緩い勾配にすることは出来ません。
カラーステンレスの段葺き
見た目ではわかりづらいかもしれませんが、こちらはカラーステンレス。
耐用年数はさらに伸びますが、費用もぐっとお高くなります。
こちらは段葺きという葺き方。平葺き(横葺き)との違いは継ぎ目に段を付けているかどうか。
継ぎ目が盛り上がっているので水切れが良くなります。
こちらはガルバリウム鋼板の折版(せっぱん)屋根です。
安価で低勾配が可能な為、主に倉庫や事務所などで使用される屋根です。
断熱・遮熱・防音などの性能に難があり、通気をとるのも難しい為居住する住宅向きではないと思います。
続いて採用が多い(当社では最近が少ないですが)“スレート瓦”です。
スレートには天然スレート・石綿スレートなどの種類がありますが、最も多く採用されるのはセメント系スレートだと思います。
ケイミューさん商品名のカラーベストやコロニアルが有名になりすぎて一切合切をカラーベストやコロニアルと呼ぶ会社もあると思います。
TOTOさんのウォシュレットの様な現象ですね。
最大のメリットは安価であることかと思います。
高耐久なものや見た目の良いものを採用すると金額もそれなりに高くなります。
続いて“瓦”です。
平板瓦です。和洋どちらの外観にも合います。
和瓦のS字瓦です。和風住宅にマッチします。
洋瓦のS字瓦です。欧風住宅はこれですね。
軽量瓦 お値段以外のデメリットはほとんどないですね。低勾配に出来ないぐらいでしょうか。
瓦のメリットはなんといっても塗り替え工事が不要なところですね。
デメリットは重たいのと価格でしょうか。
安いスレートよりも平板瓦の方が30年でみると安上がりだと思います。
最近の傾向ではガルバリウム鋼板が最も多く、続いてスレート、瓦という順番です。
30年前とは逆転している感じですね。
軽量瓦がもっと安くなればスレートとは逆転しそうな気がします。
基礎工事 型枠工事とコンクリート工事②
カテゴリー │新築工事日記│家造りの役に立つお話│現場での実例など
基礎工事進行中の楽暖(らくだん)の家。
本日は基礎の立ち上がりのコンクリート打設の様子をご紹介します。
まずは立ち上がりの部分の型枠を組みます。
この時土台と基礎を固定する為の“アンカーボルト”を型枠に取り付けておきます。
事前に現場監督がチェックできるので入れ忘れを防止出来ますし、何よりも固定の精度が良くなります。
コンクリート打設時に手で差し入れる所謂“田植え”でアンカーボルトを設置する業者もいますが、当社では型枠に事前に固定する方法を標準としています。
ポンプ車を使ってコンクリートを流し込んでいきます。
耐圧版の打設時と同じようにバイブレーターでコンクリートを流動化します。
天端も鏝(こて)で均(なら)していきます。
配筋にオレンジ色で先端が船のスクリューのような形をした部材が付いていました。
これは基礎の高さの基準となる部材です。
事前に高さを測量しながら設置して置き、スクリューの部分が埋め込まれるようにコンクリートを流します。
コンクリート打設後、部材の先端が少し突き出した状態になります。
そこに基礎の天端を平にするためのレベラーをちょうど部材の先端の高さになるように流していきます。
これも天端の高さの精度を上げる為の工程です。
手間暇を掛けても良いものを作ろうとする心意気が伝わります。
少し話は変わりますが、手間暇を掛けるなら耐圧版と立ち上がりを1回で仕上げる一体打ち(一発打ち)にしたらどうか?という意見もあるかと思います。
個人的には外周部の型枠を継がないのであればわざわざ一体打ちにする必要はないと思っています。
まずネットなんかでみると一体打ちは安くできる、と書いてあるものを見かけます。
当社でも過去に一体打ちは何回か採用しましたが、決して安くはなりませんでした。
型枠を特殊な方法(浮き型)で組む為に通常より多く土を掘ったり捨てコンを打ったりと通常ではかからない手間が掛かるからです。
また、精度の高い“良い仕事”をしようと思うと非常に繊細な仕事が求められます。
一体打ちの方が丈夫だなんていうのもネットでは見かけますがそんなことはありません。
だったら継ぎ足し継ぎ足し造るRC造はどうなるんだって話ですから。
ただし、打ち継ぎ部分に汚れや不純物があれば取り除いてからコンクリートを流すのは重要な工程です。
基礎外断熱を採用していて白蟻が心配だとか耐圧版の高さよりも周囲の地面の高さが高くなって雨水の進入が心配だとかの特殊なケース以外ではそれほどのメリットはないのではないかと思います。
さて、現場ではこの後コンクリートが固まって強度がでるまで型枠を外さないで養生する期間を設けます。
専門的には型枠の存置期間(ぞんちきかん)と言います。
存置期間は建築基準法では特に規定はありませんが、国土交通省発行の公共建築工事標準仕様書によると、
普通ポルトランドセメントの場合、平均気温が5℃以上で5日、15℃以上で3日必要となっています。
これはRC造(鉄筋コンクリート造)の建物の施工時にも用いられる数値ですのでかなり安全側にみている日数です。
木造住宅の基礎であればこれより1日程度早く型枠を外しても大きな問題はないと思います。
今回は工程にゆとりがあるのでしっかりと5日間養生します。
次は次週に型枠を外して基礎が完成した状態を紹介します。ではまた