現代建築と家相の話

カテゴリー │家造りの役に立つお話設計(間取りや仕様)について

こんにちは。ツチヤ・フソウホーム 設計の石田です。

私が住宅の間取りを考える際に気を付けるポイントはたくさんあります。

日当たり風通しなどの建物の省エネ性に関わること。

家事動線収納の確保などの利便性に関わること。

プライバシーの確保防犯性の向上などの安心面に関わること。

あげていけばキリがありません。

色々考えに考え抜いて、『よし!良いプランだ!』とお客様に提出した時に偶に訊かれるのが、

『家相は大丈夫ですか?』

というものです。

実は一概に家相といっても流派が多数あり、それぞれ微妙に違ったりするらしいですが、今回は一般的な家相と現代建築の関係性についてお話していきます。
現代建築と家相の話
こちらが家相を判断する時に用いられる“方位表”です。

方位(方角)によってそれぞれ名称がついています。

北東の表鬼門南西の裏鬼門は特に気にされるお客様が多い方角です。現代建築と家相の話
これらの方角ごとに配置する部屋が吉なのか凶なのか、といったものが定められています。

例えば北東の表鬼門はさらに丑(うし)・艮(うしとら)・寅(とら)の3つに分かれていますが、その中の丑では井戸・便所が大凶、その他の不浄物が凶となっています。

良く言われる鬼門に水廻りはNGというのはここからきているのだと思います。

こうしてそれぞれの方位を24分割してどんな部屋が吉だ凶だと割り振られているのです。

建築の知識を高めてこの家相表を見ると、『ああ、良く出来ているな。』と感心する部分が多々あります。

ただしそれは、断熱性能が低かったり、照明や空調も無かった時代の建物を基準にしている部分も多い印象です。

私見ですが、基本的な部分についてお話していきます。

表鬼門(北東)

この方角は最も寒い(日当たりが悪い)方角です。

便所大凶とされているのはその寒さゆえだと考えられます。

玄関が凶なのも冬の北風が吹き付けて隙間風が入るのを嫌った為ではないでしょうか。

私は現在の高気密・高断熱化された住宅では神経質になる必要はないと考えています。

注意点として、浜松では“遠州のからっ風”と呼ばれる強く冷たい風が北西の方向から吹き付けてきます。

玄関引き戸や引違窓は気密性能が低くなりがちなので出来れば避けた方が無難です。

裏鬼門(南西

こちらは逆に最も暑い(日差しが強い)方角です。

便所や不浄物が凶とされています。

江戸時代には暑さや寒さよりも食中毒で亡くなる人数の方が多かったと言われています。

当然下水も整備されていません。

キッチンや便所を配置して食材や不浄物が腐りやすくなるのを防ぐ為の知恵が裏鬼門の考え方なのだと思います。

こちらも下水が整備された現代では気にする必要はないと思います。

ただし、『1番日当たりの良い場所』ですので、素直にリビング・ダイニングを配置するべきだと思います。

張出し/欠込み

以前にパッシブデザインの話でもお話しましたが、建物の凹凸は日当たりに影響します。

断熱性能・耐震性能も真四角の建物よりも不利になるので、基本的には建物の凹凸はない方が性能の良い家が建ちます。

方位表を見る限りでは北側で東からの日射が増えることを吉、南側で西からの日射が増えることを凶にしているのではないかと考えられます。

空調がなかった時代の生活の知恵だと思います。

階段

中央が凶だとされています。

照明が無い時代に窓からの明かりが届きにくい場所では暗くて危険だった、暖まった空気が階段から逃げてしまう、というのが理由だと推測します。

現代では間取り的に中央に階段を配置すると無駄な廊下が少なくなる傾向があるので実用的だと言えます。

と色々と私なりの検証結果をお話してきました。

このような説明をさせて頂くと、大抵のお客様は納得してくれます。

ど~しても家相が気になる、住み心地よりも家相優先!という方は出来れば第一段階のご要望で伝えて頂けると助かります。

とは言え、日当たり、風通し、動線を気にしながらプランするとほとんどは家相に引っ掛からないから不思議です。

昔の方の知恵には関心させられてしまいます。

ちなみに、昭和・平成で多く建てられた断熱レベルの建物であれば家相を気にして設計するのは十分有効だと思います。



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