2021年04月20日15:01
日射取得の弐 レースカーテン1枚で暖房費UP(._.)≫
カテゴリー │家造りの役に立つお話│パッシブデザインについて
こんにちは。ツチヤ・フソウホーム設計の石田です。
前回は日射取得の方位とガラスの日射取得率についてお話させて頂きました。少し補足をさせてください。
上はYKKapさんのガラスのカタログですが、日射取得型はニュートラル(透明)、日射遮蔽型はブルーとブロンズ(色付き)と正しく表記されてます。
では、次にこちらをご覧ください。
こちらも同じYKKapのカタログですが、LOW-E複層ガラスの断熱タイプのカタログです。こちらでは、3色とも選択肢に入っています。
しかし実際にはこの中で日射取得型のガラスはニュートラル色だけなので、色付きのガラスを使うと日射取得率が低くなります。
ですので、南面で日射取得をしたい場合は、この場合(YKKapさんのサッシを使う場合)はニュートラル色を選びましょう、
ということです。
LIXILさんの商品の場合も色の名称は違いますが、同じことです。LIXILさんの場合はクリア色を選んでください。
ここまで、前回の補足でした。
さて、方位とガラスに気を付けて、これで日射取得が間違いなく得られるかといえば、まだわかりません。
次に気を付けなければいけないことは、南側の建物の形状です。
南側に凹凸があると、日射取得が損なわれます。
上のイメージのような場合、午前中の日射取得がかなり不利になります。反転していれば、午後の日射取得が不利になります。
省エネ住宅の設計で高名な、松尾設計室の松尾和也先生によると、これだけで暖房費が7%は上がってしまうそうです。
建物に凹凸があると、日射取得はさることながら、断熱性能、耐震性能にも良い影響は与えません。
敷地に無理がないのであれば、なるべく真南にむけて平行に、建物は東西に長く長方形にすると、太陽の恩恵をうけやすくなります。
次はカーテンの問題です。これが、きちんと出来ている会社・建物が非常に少ないと思います。
南面のガラスの日射取得率が大きく影響することはお話ししました。そして、ガラス面を覆ってしまうカーテンやブラインドは当然、日射取得率に影響を与えます。
野池政宏さん監修のEnergyZooによる数値でみてみると、日射取得率0.45のガラスにレースカーテンをしめた場合、日射取得率は0.33程度まで落ちてしまいます。
この差を、前述した計算方法で検証してみます。
南面の窓面積を15㎡とすると、15㎡×0.13(日射取得率の差)×408(冬の1時間あたりの日射量)×10h(日照時間)=7956W
偶然ですが、南面のガラスを日射遮蔽型にしたのと同じぐらいの熱量を損してしまいます
。
せっかく気を付けてガラスの種類を選んでも、満足な日射取得が得られないことになってしまいます。
しかし、街で見かける建物はどうでしょうか?ほとんどがレースカーテンが閉めっぱなしになっていると思います。
窓ガラスが単板ガラスの建物は、冬でも日差しを遮らないと日中暑くなりすぎてしまいますが、LOW-Eガラスはいくら日射取得型といっても日射取得は少なくなるので、最近の新築住宅で南面のカーテンを閉めっぱなしにしているのなら、それは冬にお金を毎日100円ずつ捨てているのと同じです。
道路に面している窓でカーテンを開けっ放しにするのは抵抗がある方も多いと思います。
当然、プライバシーに配慮するための工夫をしなければいけません。
道路境界部分に目隠しフェンスを設置したり、可動ルーバーシャッターで対応する方法もありますが、これらは結構な高額です。
お金をかけずに簡単に対応する方法があります。それは、窓ガラスを透明ガラスから型ガラスに替えることです。
窓ガラスには中外の様子が透けて見える透明のガラスとぼやけて見えなくなる型ガラスがあり、これは、新築時に選ぶことができます。
どちらを選んでも費用は同じですし、日射取得率も基本的には同じです。商品によって多少違っても誤差の範囲です。
これは実は特別な工夫でもなんでもなく、メーカーも道路に面した面は型ガラスを推奨しています。
しかし、昔からの慣習なのか、何故か南面の大きな窓は透明であることが多く、結果カーテンが閉めっぱなしになっています。
こうしたちょっとしたことにも気を配って意識して設計することで、太陽の恩恵を享受でき、冬の暖房費を削減することができます。
『パッシブデザイン』を取り入れていれば、例えば、「どうしてこの場所にこの窓を設置してるのか?」といった質問には即答できます。
もしくは、設置していない理由も明確になります。
学生時代、理系科目(そもそも勉強が…)が苦手だった私ですが、こと家造りに関しては、ファンタジーではなく、理論をもって設計するべきだと考えています。
構造・温熱環境・雨仕舞等、色々なことに良くなる理由、悪くなる理由があります。
それらすべてに最適解を見出すことは、街の工務店のレベルでは難しいです。
ですので、様々な書籍や論文、施工事例、瑕疵事例など、あらゆるところから知識を得ることが大切だと思います。
勉強は苦手(嫌い)でしたが、読書は大好きでしたので、書籍を読むことが苦にならないことは、知識を得る上で非常に役立っています。
そして得た知識をなるべくわかりやすく、当サイトを覗いてくださった方にお伝えできれば幸いです。
次回ももう少し、日射取得についてお伝えしたいと思います。
それでは、皆様、良い家を
前回は日射取得の方位とガラスの日射取得率についてお話させて頂きました。少し補足をさせてください。
上はYKKapさんのガラスのカタログですが、日射取得型はニュートラル(透明)、日射遮蔽型はブルーとブロンズ(色付き)と正しく表記されてます。
では、次にこちらをご覧ください。
こちらも同じYKKapのカタログですが、LOW-E複層ガラスの断熱タイプのカタログです。こちらでは、3色とも選択肢に入っています。
しかし実際にはこの中で日射取得型のガラスはニュートラル色だけなので、色付きのガラスを使うと日射取得率が低くなります。
ですので、南面で日射取得をしたい場合は、この場合(YKKapさんのサッシを使う場合)はニュートラル色を選びましょう、
ということです。
LIXILさんの商品の場合も色の名称は違いますが、同じことです。LIXILさんの場合はクリア色を選んでください。
ここまで、前回の補足でした。
さて、方位とガラスに気を付けて、これで日射取得が間違いなく得られるかといえば、まだわかりません。
次に気を付けなければいけないことは、南側の建物の形状です。
南側に凹凸があると、日射取得が損なわれます。
上のイメージのような場合、午前中の日射取得がかなり不利になります。反転していれば、午後の日射取得が不利になります。
省エネ住宅の設計で高名な、松尾設計室の松尾和也先生によると、これだけで暖房費が7%は上がってしまうそうです。
建物に凹凸があると、日射取得はさることながら、断熱性能、耐震性能にも良い影響は与えません。
敷地に無理がないのであれば、なるべく真南にむけて平行に、建物は東西に長く長方形にすると、太陽の恩恵をうけやすくなります。
次はカーテンの問題です。これが、きちんと出来ている会社・建物が非常に少ないと思います。
南面のガラスの日射取得率が大きく影響することはお話ししました。そして、ガラス面を覆ってしまうカーテンやブラインドは当然、日射取得率に影響を与えます。
野池政宏さん監修のEnergyZooによる数値でみてみると、日射取得率0.45のガラスにレースカーテンをしめた場合、日射取得率は0.33程度まで落ちてしまいます。
この差を、前述した計算方法で検証してみます。
南面の窓面積を15㎡とすると、15㎡×0.13(日射取得率の差)×408(冬の1時間あたりの日射量)×10h(日照時間)=7956W
偶然ですが、南面のガラスを日射遮蔽型にしたのと同じぐらいの熱量を損してしまいます
。
せっかく気を付けてガラスの種類を選んでも、満足な日射取得が得られないことになってしまいます。
しかし、街で見かける建物はどうでしょうか?ほとんどがレースカーテンが閉めっぱなしになっていると思います。
窓ガラスが単板ガラスの建物は、冬でも日差しを遮らないと日中暑くなりすぎてしまいますが、LOW-Eガラスはいくら日射取得型といっても日射取得は少なくなるので、最近の新築住宅で南面のカーテンを閉めっぱなしにしているのなら、それは冬にお金を毎日100円ずつ捨てているのと同じです。
道路に面している窓でカーテンを開けっ放しにするのは抵抗がある方も多いと思います。
当然、プライバシーに配慮するための工夫をしなければいけません。
道路境界部分に目隠しフェンスを設置したり、可動ルーバーシャッターで対応する方法もありますが、これらは結構な高額です。
お金をかけずに簡単に対応する方法があります。それは、窓ガラスを透明ガラスから型ガラスに替えることです。
窓ガラスには中外の様子が透けて見える透明のガラスとぼやけて見えなくなる型ガラスがあり、これは、新築時に選ぶことができます。
どちらを選んでも費用は同じですし、日射取得率も基本的には同じです。商品によって多少違っても誤差の範囲です。
これは実は特別な工夫でもなんでもなく、メーカーも道路に面した面は型ガラスを推奨しています。
しかし、昔からの慣習なのか、何故か南面の大きな窓は透明であることが多く、結果カーテンが閉めっぱなしになっています。
こうしたちょっとしたことにも気を配って意識して設計することで、太陽の恩恵を享受でき、冬の暖房費を削減することができます。
『パッシブデザイン』を取り入れていれば、例えば、「どうしてこの場所にこの窓を設置してるのか?」といった質問には即答できます。
もしくは、設置していない理由も明確になります。
学生時代、理系科目(そもそも勉強が…)が苦手だった私ですが、こと家造りに関しては、ファンタジーではなく、理論をもって設計するべきだと考えています。
構造・温熱環境・雨仕舞等、色々なことに良くなる理由、悪くなる理由があります。
それらすべてに最適解を見出すことは、街の工務店のレベルでは難しいです。
ですので、様々な書籍や論文、施工事例、瑕疵事例など、あらゆるところから知識を得ることが大切だと思います。
勉強は苦手(嫌い)でしたが、読書は大好きでしたので、書籍を読むことが苦にならないことは、知識を得る上で非常に役立っています。
そして得た知識をなるべくわかりやすく、当サイトを覗いてくださった方にお伝えできれば幸いです。
次回ももう少し、日射取得についてお伝えしたいと思います。
それでは、皆様、良い家を