2021年09月02日18:59
床の内装材の話② 無垢フローリングの特徴≫
カテゴリー │家造りの役に立つお話│内装について
こんにちは。ツチヤ・フソウホーム設計の石田です。
今回は無垢の床材の特徴/メリット・デメリットについてお話します。

無垢フローリングは切り出した木材を一枚の板に加工して床材として使用するものです。
無垢の特徴というとメリットとしては
・暖かみがある(熱伝導率が低い)
・調湿する
・木の香りがする
・質感が良い
といったものが良くあげられます。
デメリットとしては
・合板フロアと比較してかなり高価
・キズが付きやすい
・隙間ができる
・変色する
・メンテナンスに手間がかかる
などがあげられることが多いです。
しかし、木材といっても種類は様々あり、これらのメリット・デメリットも樹種によって得られたり得られなかったりするものもあります。

マルホン カタログより
当社で採用しているマルホンさんという無垢建材メーカーさんのカタログですが樹種がたくさんあることがわかるかと思います。
よく『無垢の床材は暖かい』と言われます。
個人的にも無垢の床材を使う一番のメリットはこれではないかと思います。
しかし、すべての無垢フローリングが他の床材と比較して暖かく感じるのかというと実はそうではありません。
無垢の床材が暖かく感じる理由は合板フロアにウレタン塗装がされたものと比較して熱伝導率が低いことが理由だとされています。
実際に合板フロアと無垢のフロアの表面温度にはほとんど差はありません。
しかし、合板フロアよりも無垢のフロアの方が熱の伝わり方が遅いので、足裏の体温が床材に奪われることが少なく、結果として暖かく感じるのです。
合板フロアにウレタン塗装をしたものの熱伝導率はおよそ0.2~0.3です。
無垢の床材の中でも熱伝導率の低い樹種のものの熱伝導率はおよそ0.12です。
比較すると2倍~3倍の差があることがわかります。
これぐらいの差があるからこそ『暖かい』と感じるわけです。
ですので無垢の床材の最大のメリット(個人的に)を得たいのであれば、熱伝導率の低い樹種を選ばなければなりません。
樹種は針葉樹と広葉樹があります。
主な床材 針葉樹の樹種
・杉 ・松(パイン) ・桧
主な床材 広葉樹の樹種
・桐 ・チーク ・アッシュ ・カバサクラ ・クルミ ・クリ ・ウォールナット などなど
針葉樹と広葉樹で熱伝導率が低いのは針葉樹のものとなります。
無垢材の熱伝導率が低いのは木材の中の水分が含まれる管が乾燥されて空隙ができ、そこに空気が含まれているからです。
性質上、針葉樹の方が広葉樹よりも多くの空気を含んでいるので熱伝導率が低くなります。
種類が多い広葉樹に比べて針葉樹で床材として使用されるものは杉・松・桧ぐらいのものです。
本当に無垢材の暖かさを感じたいのであれば、杉・松・桧の中から選ぶことをおススメします。
特に杉・松は他の樹種と比較して金額的にも安価で使いやすい材料だと思います。
しかし、デメリットもあります。
空気を多く含んでいるという性質上、比重が軽く、柔らかい材料となります。
柔らかいということで当然傷は付きやすくなります。
一般的に言われている無垢の床材は傷が付きやすいというのはこの針葉樹の材料のことを指します。
※広葉樹でも柔らかい樹種も少しですがあります。
柔らかいというと傷が付きやすいというデメリットだけと思うかもしれませんが、床材が柔らかいと踏んだ時の衝撃が吸収されるので足腰への負担が少なくなり疲れにくくなるというメリットがあります。
ここで一般的な針葉樹と広葉樹のメリット・デメリットをお伝えします。
針葉樹の床材
・広葉樹の床材と比較して安価(桧を除く)
・熱伝導率が低いので冬に足裏が暖かく感じる
・柔らかいので足腰の負担が少ない
・柔らかいので傷が付きやすい
・冬に足裏が暖かいと感じる効果はさほど期待できない
・針葉樹の床材と比較して硬いものが多いので傷が付きにくい
これだけみると広葉樹の床材を使用するメリットが感じられなくなりそうなので、どちらの床材でも共通のメリットについてもお話します。
①無垢の床特有の質感
一般的な合板フロア+ウレタン塗装のようなツルツルとした質感とは違い、肌触りが良く心地よい感触を楽しめます。
②木の香り
無垢木材に含まれる精油成分が発する香りは自律神経を安定させ、癒しを与える効果があります。
③調湿作用
無垢木材は呼吸をしています。建物ないの空気を除湿・加湿するほどの効果はありませんが、湿度の高い時期の表面のべたつきは合板フロアと比較して軽減されます。
④オリジナリティ
同じ樹種でも木目や色味はすべて違います。経年による色の変化も楽しめます。
⑤メンテナンス
合板フロアとは違い、表面を削って綺麗に直すことができます。また多少の凹みであれば水分を含ませてアイロンをかけるなどして戻すことが出来ます。
⑥ホコリの発生/付着を抑制する
ホコリは繊維のかけらをベースにウイルス/ダニ/細菌/食べかす/皮膚のかけらなどが『静電気』でまとまったものです。
合板フロアと比較して静電気を放電する性質がある無垢木材はホコリの発生/付着を抑制する効果があります。
続いて共通のデメリットについてお話します。
①仕上がりが安定しない
合板フロアと比較して1枚1枚木の表情が違うので安定して同じ仕上がりにはなりません。
②膨張/収縮する
湿度に応じて吸排気をするので夏には膨張、冬には収縮する。これは針葉樹・広葉樹の違いではなく樹種の違いによって差が出る。※広葉樹は固いから変形しにくいという訳ではない。
③施工に手間がかかる
合板フロアよりも1枚1枚の幅が狭いので多くの枚数を張る必要があり手間がかかる。当然コストも上がる。
一つ注意点があります。
無垢木材の表面の塗料・ワックスにウレタン系のものを使用するとほとんどのメリットが失われます。
表面をウレタンでコーティングしてしまうことにより針葉樹でも熱伝導率は合板フロア並みになります。
質感は失われ、調湿作用もなくなります。香りもしなくなり、静電気も帯電するのでホコリも発生しやすくなります。
表面を削ってメンテナンスすることも出来なくなります。
無垢フロアの表面には植物オイルや蜜蝋ワックスなどの専用のものを使用するようにします。
こうしたものを使用すれば、無垢木材のメリットを損なうことなく耐水性を得ることが出来ます。
色々無垢の床材についてお話してきました。
無垢の床材の採用を検討する場合、メリットとデメリットどちらに重きをおいて選択するのか、となります。
見た目や質感だけで言えば合板フロアにも良い商品が多く出てきています。
替えが効かないメリットとしては冬暖かい(針葉樹)と木の香りとホコリの抑制かなと思います。
それとデメリットである傷が付きやすい(針葉樹)と高価と比較してどちらを選ぶのか?
合板フロアでも物の良いものは比較的安価な杉やパインと金額的には変わらないこともあるのでやはり最終的には『傷を許容できるのか』が一番の争点になりそうです。
個人的には住み心地が最高の針葉樹の無垢フロアがもっともおススメです。
広葉樹の無垢フロアを選択するのか、合板フロアの良いものを使用するのか、は微妙です。
香りによる効果はとても魅力的ですが、金額が金額だけに悩むところです。予算次第ですね。
次回は合板フロアについてお話したいと思います。
今回は無垢の床材の特徴/メリット・デメリットについてお話します。


無垢フローリングは切り出した木材を一枚の板に加工して床材として使用するものです。
無垢の特徴というとメリットとしては
・暖かみがある(熱伝導率が低い)
・調湿する
・木の香りがする
・質感が良い
といったものが良くあげられます。
デメリットとしては
・合板フロアと比較してかなり高価
・キズが付きやすい
・隙間ができる
・変色する
・メンテナンスに手間がかかる
などがあげられることが多いです。
しかし、木材といっても種類は様々あり、これらのメリット・デメリットも樹種によって得られたり得られなかったりするものもあります。

マルホン カタログより
当社で採用しているマルホンさんという無垢建材メーカーさんのカタログですが樹種がたくさんあることがわかるかと思います。
よく『無垢の床材は暖かい』と言われます。
個人的にも無垢の床材を使う一番のメリットはこれではないかと思います。
しかし、すべての無垢フローリングが他の床材と比較して暖かく感じるのかというと実はそうではありません。
無垢の床材が暖かく感じる理由は合板フロアにウレタン塗装がされたものと比較して熱伝導率が低いことが理由だとされています。
実際に合板フロアと無垢のフロアの表面温度にはほとんど差はありません。
しかし、合板フロアよりも無垢のフロアの方が熱の伝わり方が遅いので、足裏の体温が床材に奪われることが少なく、結果として暖かく感じるのです。
合板フロアにウレタン塗装をしたものの熱伝導率はおよそ0.2~0.3です。
無垢の床材の中でも熱伝導率の低い樹種のものの熱伝導率はおよそ0.12です。
比較すると2倍~3倍の差があることがわかります。
これぐらいの差があるからこそ『暖かい』と感じるわけです。
ですので無垢の床材の最大のメリット(個人的に)を得たいのであれば、熱伝導率の低い樹種を選ばなければなりません。
樹種は針葉樹と広葉樹があります。
主な床材 針葉樹の樹種
・杉 ・松(パイン) ・桧
主な床材 広葉樹の樹種
・桐 ・チーク ・アッシュ ・カバサクラ ・クルミ ・クリ ・ウォールナット などなど
針葉樹と広葉樹で熱伝導率が低いのは針葉樹のものとなります。
無垢材の熱伝導率が低いのは木材の中の水分が含まれる管が乾燥されて空隙ができ、そこに空気が含まれているからです。
性質上、針葉樹の方が広葉樹よりも多くの空気を含んでいるので熱伝導率が低くなります。
種類が多い広葉樹に比べて針葉樹で床材として使用されるものは杉・松・桧ぐらいのものです。
本当に無垢材の暖かさを感じたいのであれば、杉・松・桧の中から選ぶことをおススメします。
特に杉・松は他の樹種と比較して金額的にも安価で使いやすい材料だと思います。
しかし、デメリットもあります。
空気を多く含んでいるという性質上、比重が軽く、柔らかい材料となります。
柔らかいということで当然傷は付きやすくなります。
一般的に言われている無垢の床材は傷が付きやすいというのはこの針葉樹の材料のことを指します。
※広葉樹でも柔らかい樹種も少しですがあります。
柔らかいというと傷が付きやすいというデメリットだけと思うかもしれませんが、床材が柔らかいと踏んだ時の衝撃が吸収されるので足腰への負担が少なくなり疲れにくくなるというメリットがあります。
ここで一般的な針葉樹と広葉樹のメリット・デメリットをお伝えします。
針葉樹の床材
・広葉樹の床材と比較して安価(桧を除く)
・熱伝導率が低いので冬に足裏が暖かく感じる
・柔らかいので足腰の負担が少ない
・柔らかいので傷が付きやすい
・冬に足裏が暖かいと感じる効果はさほど期待できない
・針葉樹の床材と比較して硬いものが多いので傷が付きにくい
これだけみると広葉樹の床材を使用するメリットが感じられなくなりそうなので、どちらの床材でも共通のメリットについてもお話します。
①無垢の床特有の質感
一般的な合板フロア+ウレタン塗装のようなツルツルとした質感とは違い、肌触りが良く心地よい感触を楽しめます。
②木の香り
無垢木材に含まれる精油成分が発する香りは自律神経を安定させ、癒しを与える効果があります。
③調湿作用
無垢木材は呼吸をしています。建物ないの空気を除湿・加湿するほどの効果はありませんが、湿度の高い時期の表面のべたつきは合板フロアと比較して軽減されます。
④オリジナリティ
同じ樹種でも木目や色味はすべて違います。経年による色の変化も楽しめます。
⑤メンテナンス
合板フロアとは違い、表面を削って綺麗に直すことができます。また多少の凹みであれば水分を含ませてアイロンをかけるなどして戻すことが出来ます。
⑥ホコリの発生/付着を抑制する
ホコリは繊維のかけらをベースにウイルス/ダニ/細菌/食べかす/皮膚のかけらなどが『静電気』でまとまったものです。
合板フロアと比較して静電気を放電する性質がある無垢木材はホコリの発生/付着を抑制する効果があります。
続いて共通のデメリットについてお話します。
①仕上がりが安定しない
合板フロアと比較して1枚1枚木の表情が違うので安定して同じ仕上がりにはなりません。
②膨張/収縮する
湿度に応じて吸排気をするので夏には膨張、冬には収縮する。これは針葉樹・広葉樹の違いではなく樹種の違いによって差が出る。※広葉樹は固いから変形しにくいという訳ではない。
③施工に手間がかかる
合板フロアよりも1枚1枚の幅が狭いので多くの枚数を張る必要があり手間がかかる。当然コストも上がる。
一つ注意点があります。
無垢木材の表面の塗料・ワックスにウレタン系のものを使用するとほとんどのメリットが失われます。
表面をウレタンでコーティングしてしまうことにより針葉樹でも熱伝導率は合板フロア並みになります。
質感は失われ、調湿作用もなくなります。香りもしなくなり、静電気も帯電するのでホコリも発生しやすくなります。
表面を削ってメンテナンスすることも出来なくなります。
無垢フロアの表面には植物オイルや蜜蝋ワックスなどの専用のものを使用するようにします。
こうしたものを使用すれば、無垢木材のメリットを損なうことなく耐水性を得ることが出来ます。
色々無垢の床材についてお話してきました。
無垢の床材の採用を検討する場合、メリットとデメリットどちらに重きをおいて選択するのか、となります。
見た目や質感だけで言えば合板フロアにも良い商品が多く出てきています。
替えが効かないメリットとしては冬暖かい(針葉樹)と木の香りとホコリの抑制かなと思います。
それとデメリットである傷が付きやすい(針葉樹)と高価と比較してどちらを選ぶのか?
合板フロアでも物の良いものは比較的安価な杉やパインと金額的には変わらないこともあるのでやはり最終的には『傷を許容できるのか』が一番の争点になりそうです。
個人的には住み心地が最高の針葉樹の無垢フロアがもっともおススメです。
広葉樹の無垢フロアを選択するのか、合板フロアの良いものを使用するのか、は微妙です。
香りによる効果はとても魅力的ですが、金額が金額だけに悩むところです。予算次第ですね。
次回は合板フロアについてお話したいと思います。